こんにちは。
「ドクターワイオオの家庭教育お助け隊」、
塾長のドクターワイオオです。
今回は保護者の皆さんから非常によくいただくご相談、
「うちの子、基本問題やワークの反復はできるようになったのに、
模試や実力テストになると応用問題で手が止まってしまうんです」「偏差値60の壁がどうしても越えられません」
というお悩みについて、家庭でできることを具体的にお伝えしていきます。
「勉強させる」ことに成功した家庭ほど陥る、次の壁
これまでの連載で、家庭学習の習慣づくりや、勉強に向かわせるための声かけについてお伝えしてきました。
多くのご家庭が、そこまでは頑張って乗り越えていらっしゃいます。
しかし40年の指導経験から見えてきたのは、
「机に向かう習慣」と
「応用問題が解ける学力」
は、実はまったく別の力だという事実です。
大阪、沖縄、愛知の教室はもちろん、ロンドン、ニューヨーク、上海の海外校で日本人のお子さんを指導してきた中でも、
共通してこんなお子さんに数多く出会いました。
- 漢字テストは満点なのに、初めて読む長文になると読解できない
- 計算問題は速いのに、文章題になると式が立てられない
- 「習った通りのパターン」は解けるが、少し捻られると固まってしまう
これは「勉強不足」ではなく、
「覚えた解き方を再現する勉強」から一歩も出ていないサインです。
家庭学習の量を増やすだけでは、この壁は越えられません。
なぜ「初見の問題」で固まってしまうのか
多くの保護者が
「うちの子は応用力がない」
と結論づけてしまいますが、
国内外で多くの子どもを見てきた塾長の視点では、
原因はほとんどの場合、家庭学習のやり方の中にあります。
原因1:「答え合わせ」が「丸つけ」で終わっている
○×をつけて終わり、
間違えた問題の解説を読んで「なるほど」で終わる。
これでは、次に似た問題に出会っても同じところでつまずきます。
応用問題に強い子は、家庭学習の中で
「なぜ間違えたのか」
「どう考えれば正解にたどり着けたのか」
を、自分の言葉で説明する習慣を持っています。
原因2:親がすぐに「答え」や「解き方」を教えてしまう
お子さんが問題に詰まっていると、つい
「ここはこうやるのよ」
と教えたくなるのが親心です。
しかし、これを繰り返すと、子どもは
「考える前に、教えてもらうのを待つ」
姿勢が身についてしまいます。
これは家庭学習の量の問題ではなく、家庭での関わり方の問題です。
原因3:「わかったつもり」を放置している
パターン学習は、ある一定のレベル(偏差値55〜58程度)までは通用してしまいます。
だからこそ厄介なのです。
基礎が固まっているように見える中1・中2のうちに、この
「わかったつもり」の芽を摘んでおかないと、
中3で応用問題主体の入試問題に切り替わった瞬間、
一気に成績が伸び悩みます。
これが「偏差値60に届かない理由」の正体であることが非常に多いのです。
家庭でできる「思考力」を育てる声かけ
ここからが本題です。
「勉強をやらせる」段階から、
「自ら考える」段階へ子どもを引き上げるために、
家庭で今日からできる声かけをご紹介します。
声かけ1:「答え」ではなく「途中」を聞く
✕「この問題、答えは何になった?」
○「どうやってその答えにたどり着いたか、説明してみて」
正解・不正解にかかわらず、
思考のプロセスを言葉にさせることが最大のトレーニングになります。
うまく説明できない場合は、それこそが
「わかったつもり」だった証拠です。
責めずに、
「じゃあ、どこまでは分かった?」
と一歩戻って聞いてあげてください。
声かけ2:教える前に「3つの質問」を挟む
お子さんが問題に詰まったとき、
すぐに解説する前に、次の質問を挟んでみてください。
- 「この問題、何を求められているんだっけ?」
- 「今まで習った中で、似たような問題なかった?」
- 「今、分かっていることを整理すると、何と何?」
この3つの質問は、私が国内外の教室で40年間使い続けてきた
「考えさせるための型」
です。
ご家庭でもすぐに実践いただけます。
声かけ3:間違えた問題ほど褒める
✕「なんでこんな簡単な問題間違えたの」
○「ここまで自分で考えられたのはすごいね。あと一歩だったね」
応用問題に挑戦し、間違えるということは、思考力を使った証拠です。
ここで叱ってしまうと、子どもは
「間違えないこと」を優先するようになり、
簡単な問題ばかり選んで解くようになってしまいます。
これでは思考力は伸びません。
家庭学習の「量」より「質」を変える3つの工夫
家庭学習 習慣づくりというと
「毎日何時間やらせるか」に意識が向きがちですが、
応用問題対応力を育てるには、次の工夫のほうが効果的です。
- 1問にかける時間を区切る:「考える時間10分+説明する時間3分」のようにセットにする
- 正答よりも解説を評価する:丸つけの後、「解き方をノートの余白に自分の言葉で書く」習慣をつける
- 親が『先生』ではなく『聞き役』になる:教えるのではなく、「それってどういうこと?」と聞く側に徹する
特に中1の夏休みなど、まとまった時間が取れる時期は、
この「質」を変える絶好のチャンスです。
「中1 夏休み 勉強しない」というお悩みも、実は
「量をこなす勉強」に子ども自身が飽きてしまっているサインであることが少なくありません。
思考力を使う勉強に切り替えることで、
子どものやる気そのものが変わるケースを、これまで数多く見てきました。
まとめ:家庭は「教える場」ではなく「考えさせる場」
最後に、今回お伝えしたかったことをまとめます。
- 「勉強をやらせる」ことに成功した家庭ほど、次に「思考力」の壁にぶつかる
- 応用問題が解けないのは、才能ではなく「答え合わせ」と「関わり方」の問題であることがほとんど
- 家庭では、教える前に「聞く」「説明させる」を意識するだけで、子どもの思考習慣は大きく変わる
家庭教育のゴールは、親がすべてを教えることではありません。
子どもが自分の頭で考え、粘り強く答えにたどり着く力を、
家庭という一番安心できる場所で育てていくことです。
今回の内容が、お子さんの
「初見の問題に強くなる」
きっかけになれば幸いです。
次回は「中だるみしやすい中2の家庭学習の立て直し方」
についてお伝えします。
大岩裕之(おおいわ ひろゆき) 雙葉進学教室 塾長。数学教育学修士・専修免許状取得。ロンドン・ニューヨーク・上海など6都市での指導を経て、2015年より半田市にて開校。指導歴40年・数学・理科専門。