ブラックロック先生の本音

【本音009】国語力こそ全ての土台である

1 早期英語教育に走るな!日本語の理解が先だ

1.1. 早期英語教育の弊害は国語力の低下

まず、保護者の皆様に厳しくお伝えしたいことがあります。それは、焦って子どもに早期英語教育を施すことが、かえって国語力という最も大切な土台を脆くする弊害を生む可能性があるということです。

子どもの学習時間は有限です。その貴重な時間を、まだ日本語の論理的思考力や読解力が確立していない段階で英語に割いてしまうと、国語の基礎がおろそかになりがちです。日本語の文法や文章構成を理解できていないのに、異なる言語の構造を学んでも、深く理解することは難しいでしょう。

海外の教育でも、母語(その国の言葉)の徹底的な学習が、その後の全ての学習の土台になるとされています。早期英語教育の弊害を避けるためにも、まずは日本語での確固たる思考力を築くことが、賢明な判断だと言えます。

1.2. そもそも「なんとなく」で日本語を読むな

国語力がない生徒の多くは、「なんとなく」で文章を読んでいます。問題文や説明文を最後まで読んでも、結局「何が言いたかったのか」が頭に残っていません。この習慣こそが、全ての科目の成績が上がらない最大の原因です。

例えば、「筆者の主張は何か?」という問いに対し、「好き勝手言っている」と答える生徒がいますが、それでは文章を論理的に分解して理解できていない証拠です。筆者が文章で何を伝えようとしているのか、その言葉の定義論理の繋がりを正確に読み取る力は、まず日本語で徹底的に鍛えなければなりません。

なんとなく読む癖がついてしまうと、大量の情報を処理しなければならない受験勉強で致命的な遅れをとることになります。

1.3. 英語の文章理解も日本語の土台となる

「将来は英語ペラペラになってほしい」という親御さんの気持ちは理解できます。しかし、英語の文章を真に理解するためにも、国語力は欠かせません。

英語の長文を読んで内容を理解するとき、脳は一度、日本語の概念に置き換えて思考しています。「この単語が指す具体的な意味は何か」「この文章の主題は何か」といった深い理解は、日本語の読解力に依存しているのです。

日本語の読解力、つまり国語力がない状態で英単語や文法を詰め込んでも、それはただの記号の羅列に過ぎません。英語が本当に得意になるためには、早期英語教育に走るのではなく、まず日本語で深い思考ができる土台をしっかり作ることが何よりも重要です。


2 国語力がないと全科目の成績が上がらない真実

2.1. 国語力がないと算数・理科が解けない

なぜ国語力がないことが、算数や理科といった理系科目の成績が上がらない原因になるのか、具体的に解説しましょう。理系科目の問題は、すべて「日本語で書かれた文章」で構成されているからです。

特に近年、算数では文章題が複雑化しています。「〇〇さんが△△円で品物を仕入れ、原価の3割の利益を見込んで定価をつけました」という問題文を読んで、「原価」「定価」といった言葉の意味を正確に理解できなければ、数式にすらできません。

これは理科でも同じです。実験の手順や結果の説明を正しく読み取れなければ、知識があっても正解にたどり着くことはできません。国語力とは、全ての科目を解くための「鍵」なのです。

2.2. 「問題文」の意味を正しくつかむ技術

成績が上がらないと嘆く生徒の多くは、問題文を「最後まで読んでいない」「読み飛ばしている」ことが原因です。

問題文には、「適切ではないものを選びなさい」「最も当てはまるものを二つ選びなさい」など、解答の条件が必ず書かれています。これらの指示語を読み飛ばして、間違った答えを選んでしまうミスを、あなたは「うっかりミス」だと思っていませんか。

違います。それは「国語力がない」ことによるミスです。問題文の隅々まで注意を払い、書かれている指示を正確に把握する技術は、全ての学習の基本です。この技術を磨かない限り、成績が上がることは難しいでしょう。

2.3. 成績が上がらないのは知識不足ではない

多くの生徒や保護者は、成績が上がらない原因を「知識不足」や「努力不足」だと考えがちです。しかし、その根本原因は国語力がないことにあるケースが非常に多いです。

例えば、社会科で歴史の用語をたくさん覚えても、解説文や設問文の意図を正確に読み取れなければ、覚えた知識を「アウトプット」できません。知識という宝を持っていても、それを引き出すための「国語力」という道具がなければ無意味です。

まずは、新しい知識を詰め込む前に、「なぜ私は問題文が読めないのか」という国語力の根本的な問題に向き合ってください。それが、遠回りなようでいて、最も成績を上げる近道となります。


3 劇的に国語力を上げるための具体的な対処法

3.1. ニュースの要約と感想を毎日やれ

国語力を劇的に上げるための最も効果的な対処法の一つは、「文章の要約(まとめ)」「それに対する自分の感想」を毎日書くことです。

ここで言う要約とは、「大事そうなところを抜き出す」ことではありません。文章全体を読んで、「この筆者が、この文章で最も伝えたかったことは何か」を、自分の言葉で短くまとめる作業です。

  • 要約: 読解力と論理的思考力を鍛える
  • 感想: 自分の考えを言葉にする表現力を鍛える

この訓練を続けることで、国語力は飛躍的に向上します。国語力がないと悩んでいるなら、今日から新聞やネットニュースのコラムを一つ選び、必ず要約する習慣を身につけてください。

3.2. 国語力を鍛える最強の武器「音読」

国語力を鍛える対処法として、地味ですが非常に強力なのが「音読」です。

声に出して読むという作業は、「目」で文字を追い、「口」で発音し、「耳」でその音を聞く、という動作を同時に行うため、脳が文章の構造を強く意識します。これにより、文章が持つリズムや句読点の意味、そして論理の繋がりを深く理解できるようになります。

国語力がないと感じている生徒は、速く読もうとするあまり、目だけで文字を追ってしまい、文章を理解する作業を怠りがちです。音読をすることで、読解力を深めるだけでなく、集中力も高めることができます。騙されたと思って、毎日5分間だけでも音読を習慣にしてください。

3.3. 分からない言葉を放置しない習慣

国語力とは、言い換えれば「言葉の正確な理解力」です。成績が上がらない生徒の共通点は、「分からない言葉」が出てきても、面倒くさがって辞書を引かずに、文脈でごまかそうとすることです。

例えば、「希薄な人間関係」という言葉の意味を、本当に正確に説明できますか?「薄いこと」としか答えられないようでは、その文章全体の意味を深く理解することは不可能です。

国語力がないという自覚があるなら、今日から「分からない言葉を放置しない」という強い習慣を身につけてください。辞書を引くという小さな対処法が、あなたの国語力を根本から変える鍵となります。


4 国語力を殺す3つの悪習慣を今すぐやめろ

4.1. 短文依存で思考力を停止させるな

今の時代、SNSやチャットアプリの影響で、生徒たちの間では「短文依存」が蔓延しています。短く、感情的な言葉のやり取りばかりしていると、長い文章を読み解くための思考力がどんどん停止していきます。

長い文章は、物事を多角的に見て、論理的に筋道を立てて説明するために必要です。この「筋道を立てる」という脳の作業を、日頃から放棄していると、入試の複雑な長文問題に立ち向かえるわけがありません。

国語力を殺す最大の悪習慣は、活字から逃げ、短い刺激に依存することです。成績が上がらないと嘆く前に、スマホの短文から離れる時間を作りましょう。

4.2. 辞書を引かないのが最大の敗因だ

先ほども言いましたが、国語力がない生徒の最大の敗因は、「面倒くさい」という感情に負けて辞書を引かないことです。

辞書を引くことは、単に言葉の意味を知る作業ではありません。その言葉が持つ「深さ」「広さ」「他の言葉との関連性」を学ぶ、最も質の高い学習です。この積み重ねが、国語力を決定づけます。

成績が上がらないのはなぜか」と聞かれたら、まずは「先週、辞書を何回引きましたか?」と問いかけます。辞書を引く回数が少ないということは、それだけ「分からないことを分からないままにしている」証拠です。

4.3. 「面倒くさい」で活字から逃げるな

国語力がない状態が続くのは、活字を読むことを「面倒くさい」と感じ、そこから逃げ続けているからです。勉強とは、本来、面倒で負荷がかかる作業です。その負荷を避けていては、学力は絶対に伸びません。

活字離れが進む現代において、本を読む習慣、新聞を読む習慣を持つだけで、他のライバルに大きな差をつけることができます。活字に触れる訓練をせずに早期英語教育に走るのは、基礎体力をつけずにいきなりマラソン大会に出るようなものです。

まずは、自分の興味のある分野でも構いません。活字に触れる時間を強制的に作り、国語力という最も強力な武器を磨き上げてください。


5 【結論】英語を止めてでも国語を優先する勇気を持て

5.1. 国語力がないまま英語を勉強するな

早期英語教育が悪いわけではありませんが、国語力がないまま英語ばかりを勉強するのは、非常に非効率的で危険な行為です。

土台がグラグラな家に、二階(英語)や三階(理数)を建てようとしても、すぐに崩れてしまいます。まずは、国語という最も重要な土台を盤石にすることが最優先です。親御さんがこの国語力の重要性を理解し、一時的に英語の時間を削ってでも、国語に集中させる勇気を持つことが、結果的に子どもの成績を上げるための賢い戦略となるでしょう。

5.2. 国語が伸びれば全科目の成績は一気に伸びる

国語力が向上すると、全科目の成績は一気に伸びるという現象が起こります。これは、国語力が全ての科目の「理解力」「分析力」「思考力」の根幹を担っているからです。

例えば、物理の法則を学ぶにしても、まずその日本語の解説文を深く理解する必要があります。国語力が伸びることで、今まで暗記でごまかしていた知識が、論理的な繋がりとして理解できるようになるのです。国語力がない状態から脱却し、全科目の効率を上げてください。

5.3. 全ての勉強は「読む」ことから始まる

勉強という行為は、突き詰めれば「書かれていることを正確に読み取る」ことから始まります。問題集、教科書、解説書、すべてが国語で書かれた文章です。

国語力を軽視し、成績が上がらない状態を続けるのはもうやめにしましょう。今日から、「英語より国語」という意識を持ち、活字と真摯に向き合ってください。それが、あなたの受験の結果を決定づける最後の対処法となります。

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ブラックロック先生|ビッグロック先生の裏人格 塾講師の本音、漏れてます。 核心つく系教育ダークサイド 夜の教室でつぶやく教育の真実

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