スマホを視界から消すことが勉強の鍵
「勉強しなさい」
この一言を、今週すでに何回言いましたか。
言った瞬間、子どもは机には向かう。
でも5分後にはスマホを触っている。
そしてまた同じ言葉を繰り返す――。
半田市で40年近く中学生の数学を教えてきた中で、
こういうご家庭を数えきれないほど見てきました。
「勉強しなさい」という声かけよりも効果があるのは、
そもそもスマホが目に入らない・手が届かない"仕組み"を
先に作ってしまうことです。
これは根性論でも精神論でもありません。
脳科学の実験データと、文部科学省の最新調査が裏付けている、
再現性のある方法です。
今日は、その理由と具体的なやり方を、数学専門塾の立場からお伝えします。
スマホが視界にあるだけで集中力が低下する理由
多くの保護者は
「使っていなければ影響はない」
と思いがちです。
ですが、これは誤解です。
北海道大学の研究チームが行った実験では、
机の上にスマホを置いたグループと手帳を置いたグループで、
簡単な文字検索課題の成績を比較しました。結果は次の通りです。
- 手帳を置いたグループ:検索終了までの平均時間 3.051秒
- スマホを置いたグループ:検索終了までの平均時間 3.660秒
研究チームは、スマホが置いてあるだけで自動的にそちらへ注意が向いてしまい、
目の前の課題の成績が悪くなると分析しています。
同じような結果は他の研究でも報告されています。
スマホがそばにあるだけで注意力が散漫になり、
生産性を下げてしまうことが最新の研究で分かっているという指摘もあります。
つまり、
「触っていないから大丈夫」ではなく、
「視界に入っているだけでアウト」
なのです。
これは意志の弱さの問題ではなく、
脳の構造上どうしても起きてしまう現象です。
だからこそ、「我慢させる」より
「視界から消す」
ほうが圧倒的に効果があります。
数学がスマホの影響を受けやすい理由
ここが、数学特化塾として一番お伝えしたいポイントです。
数学は、一つの問題を解くのに思考を連続させる必要がある教科です。
- 式を立てる
- 途中の計算を保持する
- 次の一手を考える
- また前の式に戻って確認する
この一連の流れは、
脳の中の「作業スペース」(ワーキングメモリ)を
フルに使い続けることで成立しています。
ところが、そこにスマホの通知や視界に入るスマホの存在があると、
脳の作業スペースの一部が常にそちらへ割かれてしまいます。
途中式まで書いていたのに、通知が一回来ただけで
「あれ、どこまで考えてたっけ」
と最初からやり直しになる。
これは集中力がないからではなく、
脳の作業スペースをスマホに横取りされている状態
だからです。
英語の単語暗記や国語の読解であれば、
多少の中断があっても再開しやすい部分があります。
しかし数学は、思考の連続性が途切れると再構築のコストが非常に高い教科です。
「うちの子はスマホがあると特に数学だけ点数が落ちる」
というご相談を受けることが多いのは、偶然ではありません。
文部科学省が令和7年10月にまとめた教育課程部会・算数数学ワーキンググループの資料でも、
学校外での勉強時間が長いほど学力調査のスコアが高い傾向があり、
スマートフォンの使用時間が一定程度を超えるとスコアが低下する傾向が示されています。
数学分野に特化した公的資料でこの傾向が確認されているのは、
決して軽視できない事実です。
東大生のゲーム習慣と勉強の切り替え術
ここで一つ、誤解を解いておきたいことがあります。
「ゲームをやらせているからうちの子は成績が伸びない」
——そう思い込んでいる保護者は少なくありません。
ですが、東京大学新聞社が現役東大生357人に行った調査によると、
小学生の頃からゲームに興じていた割合は約80%、
中には最長12時間以上ゲームで遊んだ経験がある人も20%以上いたという結果が出ています。
つまり、ゲーム経験そのものは、学力と単純に反比例するものではないということです。
では何が差を分けたのか。
私が半田市で多くの家庭を見てきた実感と、
この調査結果を照らし合わせると、差がついているのは
「ゲームをしているかどうか」ではなく
「勉強とゲームの切り替えの仕組みを持っているかどうか」
です。
- ゲームの時間と場所が決まっている子
- ゲームをやめるタイミングが本人の中で明確な子
- 「ここまでやったら終わり」を自分で判断できる子
こういう子は、ゲームをしていても学習に大きな支障が出にくい傾向があります。
逆に、ダラダラと際限なく続いてしまう子は、ゲームの内容そのものよりも
「切り替えの仕組みがない」
ことが問題になっているケースがほとんどです。
つまり子どもを責める前に見直すべきは、「ゲームをやめさせるかどうか」ではなく、
「切り替えの仕組みを家庭に用意できているかどうか」
なのです。
今日から始める!半田家庭の勉強スイッチ3選
ここからは、実際に今日から取り入れられる具体策です。
精神論ではなく、環境を先に変えることを意識してください。
1. スマホと勉強スペースを分ける方法
- 勉強中はリビングの別の場所や別の部屋にスマホを置く(机の上・ポケットの中はNG)
- 充電スポットを勉強スペースから離れた場所に固定する
- 「置くだけで気が散る」という前提に立ち、視界に入らない距離を作る
これだけで、北海道大学の実験が示した
「置いてあるだけで注意が奪われる」
状態を防げます。
2. スクリーンタイムで勉強時間を確保する方法
iPhoneにはスクリーンタイム機能が標準搭載されています。
- 「設定」→「スクリーンタイム」→「休止時間」で、勉強の時間帯(例:19時〜21時)を設定
- 休止時間中はほとんどのアプリが自動的に使用不可になる
- パスコードを設定し、本人が簡単に解除できないようにする
「意志の力で我慢する」のではなく、
「そもそも使えない状態」を機械的に作ることがポイントです。
これはご家庭のルールを子ども一人の責任にしないという意味でも重要です。
3. 親子で決める勉強ルールの作り方
文部科学省は、利用時間に関する「親子のルールづくり」を、
こども家庭庁と連携した国の施策として推奨しています。
一方的に押し付けるルールではなく、次のような形で一緒に決めることが継続のカギになります。
- 「平日は何時から何時まで勉強に集中する?」を子どもに聞いてから決める
- 「守れなかったときはどうする?」まで事前に本人と合意しておく
- 定期テスト前など、特別な期間だけルールを見直すタイミングを作る
自分で決めたルールは、押し付けられたルールより格段に守られやすくなります。
逆算思考で目指す半田・横須賀高校合格
2025年時点の調査では、中学生の1日平均スマホ利用時間は145分というデータがあります。
仮にこの半分を家庭学習に回せれば、1日約70分、1週間で約8時間の学習時間が新たに生まれる計算になります。
半田高校・横須賀高校といった上位校を目指す場合、
この差は模試の偏差値に確実に表れてきます。
「スマホをやめさせる」のではなく、
「浮いた時間を数学の演習に充てる」
という前向きな捉え方に変えるだけで、親子の会話も変わってきます。
今日から始める!勉強環境改善の3ステップ
長々とお伝えしましたが、やることはシンプルです。
- 勉強スペースからスマホの充電場所を離す
- スクリーンタイムで勉強時間帯を設定する
- 今夜、子どもと一緒に「守れるルール」を1つだけ決める
「勉強しなさい」
を100回言うよりも、この3つを1回実行するほうが確実に効果があります。
半田市で数学の成績を本気で伸ばしたいとお考えの方は、
雙葉進学教室の無料体験授業で、お子さんに合った学習環境づくりについても直接ご相談いただけます。
まずは今日、ご家庭でできることから始めてみてください。
大岩裕之(おおいわ ひろゆき) 雙葉進学教室 塾長。数学教育学修士・専修免許状取得。ロンドン・ニューヨーク・上海など6都市での指導を経て、2015年より半田市にて開校。指導歴40年・数学・理科専門。