こんにちは、ドクターワイオオです。
9月から10月にかけて、多くの学校で体育祭や文化祭が行われる季節になりました。
このシーズン、教室にいらっしゃる保護者の方から必ずといっていいほど聞かれるご相談があります。
「行事が終わったとたん、子どもが完全に抜け殻になってしまって…」
「疲れているのは分かるけど、このままズルズル勉強しなくなるんじゃないかと不安で」
まさに今、同じように悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
今日は、この「行事疲れ×勉強しない」問題を、
データと脳科学の視点から整理し、
明日からすぐに使える「たった1つのコツ」をお伝えします。
子どものやる気低下は多数派
まず知っていただきたいのは、
これはあなたのお子さんだけの問題ではない、
ということです。
中学生の保護者100人を対象にしたある調査では、74%の保護者が
「子どもの勉強のやる気のなさに悩んだ経験がある」
と回答しています。
そして「やる気が出ない原因」として3番目に多く挙げられたのが、
「部活で疲れて勉強する気力がない」(31.1%)でした。
体育祭・文化祭の練習や準備も、この
「体力を使い切る行事」
に当てはまります。
つまり、行事シーズンにお子さんのやる気が落ちるのは、
ごく自然な体の反応なのです。
まずはこの前提を、保護者自身が持っておくことがとても大切です。
行事後にやる気が消える2つの理由
理由1:睡眠不足
ある調査によると、中学生の平日の平均睡眠時間は7.56時間。
厚生労働省が推奨する8〜10時間と比べて、1日あたり約26分不足しており、
これを平日ベースで積み上げると年間で約100時間もの睡眠不足に相当するといわれています。
さらに興味深いことに、保護者の約7割は
「子どもの睡眠は足りている」
と感じているというギャップも報告されています。
行事シーズンは、朝練・準備・放課後の練習などで、
普段以上に就寝時間が遅くなりがちです。
睡眠には、体の疲労を回復させるだけでなく、
日中に学んだ内容を記憶として定着させる働きがあります。
つまり睡眠不足の状態でどれだけ机に向かわせても、そもそも
「疲れが取れていない」
「覚えたことが定着しにくい」
という状態で勉強させていることになるのです。
理由2:頑張りの否定感
もう一つの見落としがちな理由が、心理的な反発です。
体育祭や文化祭で全力を出し切った直後に「勉強しなさい」と言われると、
子どもは自分の頑張りそのものを否定されたように感じてしまうことがあります。
親としては「行事は行事、勉強は勉強」と切り替えてほしいだけなのですが、子どもの側からすると
「あんなに頑張ったのに、まだ足りないの?」
というメッセージとして受け取ってしまうのです。
ここでやる気を無理に引き出そうとすると、
かえって逆効果になりやすいというのが、
多くの家庭教育の現場で見られる共通パターンです。
避けるべきNG声かけ
- 「体育祭は終わったんだから、もう勉強しなさい」
- 「そんなに疲れてるのに、ゲームはできるんだね」
- 「他の子はちゃんと勉強と両立してるよ」
これらに共通するのは、
子どもの頑張りを認めずに、いきなり「次」を要求してしまっている点
です。
悪気がなくても、子どもにとっては
「頑張りが評価されなかった」
という記憶として残ってしまいます。
行事後の3日間リカバリープラン
ここからが本題です。
行事シーズンを乗り切るために、我が家でも、そして教室でご家庭に提案してきたコツは、
たった1つです。
「行事が終わった日から3日間だけ、勉強のルールをあえて変える」
これだけです。
難しいことは何もありません。
具体的には、次の3ステップで進めます。
Day1:ねぎらいの日
行事が終わった当日〜翌日は、勉強の話は一切しません。
「大変だったね」
「本当によく頑張ったね」
と、結果ではなく過程をねぎらう言葉だけをかけます。
この日は勉強量ゼロでもOK、というくらいのつもりで構いません。
Day2:ハードルを下げる日
2日目からは、勉強を再開しますが、
通常の分量の3分の1程度から始めます。
「今日は教科書を開くだけでいいよ」
「10分だけやってみようか」
など、達成のハードルを思い切り下げることで、
「できた」
という感覚を先に取り戻すことが目的です。
Day3:ペースを戻す日
3日目には、通常の学習量に戻していきます。
このとき、「3日間、よく立て直せたね」と、
リカバリーできたこと自体を認める一言を添えると、
次の行事の後も同じように自分で立て直せる子に育っていきます。
このプランのポイントは、
「頑張らせる」のではなく
「回復する期間をあらかじめ決めておく」
という発想の転換にあります。
ゴールが見えないまま
「早く勉強モードに戻ってほしい」
と願うから、親もイライラしてしまうのです。
3日間という期限を決めてしまえば、
親自身も安心して待つことができます。
まとめ:学習ペースより立て直す力
行事シーズンにやる気が落ちるのは、
多くの家庭で起きているごく自然なことです。
大切なのは、行事の間もペースを崩さないことではなく、
崩れたあとに、短期間で自分のペースに戻す力を育てること
です。
「行事後3日間リカバリープラン」
は、特別な道具も知識もいりません。
今度のお子さんの行事が終わったら、ぜひ試してみてください。
雙葉進学教室では、こうした行事シーズンの学習相談も随時受け付けています。
お子さんの様子で気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
大岩裕之(おおいわ ひろゆき) 雙葉進学教室 塾長。数学教育学修士・専修免許状取得。ロンドン・ニューヨーク・上海など6都市での指導を経て、2015年より半田市にて開校。指導歴40年・数学・理科専門。